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耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科の紹介

「突発性難聴」の定義と診断

 本疾患は"突然に、誘因なく、 高度の感音性難聴、耳鳴をきたす、時に激しいめまいを伴う疾患"と定義されます。外傷や細菌感染など他の発症要因が明らかな場合は除かれます。発症後2〜3ヶ月で症状が固定してしまうため、出来るだけ早期(1週間以内)に治療を開始することが最も大切です。
「突発性難聴」の原因としては、血管障害説やウイルス感染説など考えられていますが、残念ながら現在まではっきりした原因はわかっていません。原因が不明であるため治療法が統一されていないという面もあります。しかしながら、その本態として内示にある血管条という組織が障害されているようだということがわかってきており、難聴のメカニズムについては徐々に解明されつつあります。
 難聴の主症状や発症の機転により診断は比較的容易ですが、以下のとおり突発性難聴と鑑別が重要な疾患がいくつかあります。

「突発性難聴」と鑑別すべき疾患

  • メニエール病

    激しい回転性めまいと、それに伴う一側性の難聴と耳鳴を三主徴とする疾患です。本邦ではめまいを訴える患者の多くが「メニエール病」と診断される傾向にありますが、実際にはめまい患者の1〜2割程度と言われています。反復して起こることも特徴ですので、再発例では突発性難聴との鑑別は容易(突発性難聴は再発は稀)ですが、突発性難聴でも激しいめまいを伴うことがあり、いくつかの検査を合わせて行う必要があります。
  • 外リンパ瘻(漏)

    力み、鼻かみ、くしゃみ、航空機での離着陸あるいは潜水など圧力の急激な変化により発症してめまい、難聴が生じ、外リンパが漏出している部分をふさぐいわゆる内耳窓閉鎖術という手術治療を要します。本人が発症時の状況を忘れていると診断に苦慮することがあります。
  • 聴神経腫瘍

    内耳と中枢神経系を結ぶ第8脳神経に生じる良性腫瘍です。腫瘍の圧迫により難聴をきたします。一般には徐々に進行し、また一時的に良くなったりするので難聴が突然発症することは比較的少ない疾患です。しかし、突発性難聴で治りが悪い場合、必ず精密検査を行って腫瘍の有無を確認する必要があります。
  • ムンプス聾

    いわゆる「おたふくかぜ」(流行性耳下腺炎)に伴って難聴が発症します。ウイルスが内耳を障害し、高熱のあとに一側性の難聴が生じます。発熱や耳下腺の腫脹が軽度の場合には本人がムンプス(流行性耳下腺炎)の感染を自覚していないこともあり、注意を要します。

「突発性難聴」の治療

  • ステロイド漸減療法

     これは副腎皮質ホルモンの一つであるステロイドを注射もしくは内服の形で、患者さんに投与するものです。治療効果については自然治癒例との差が小さいとの報告がありますが、これまで多くの施設で行われており、最も普及している治療法と言えます。投与量に注意が必要なほか、糖尿病のある患者さんには使えません。
  • 高圧酸素療法

     「高気圧治療」とも言われたりします。特殊な施設(設備)を用いて、患者さんに高圧の酸素を負荷し、細胞の活性化を図るものです。脳血管障害などの患者さんにもよく用いられる治療法ですが、圧障害に注意が必要で、経験のある医師の元で行われなければなりません。限られた病院(医院)でしか、受けられないことが難点です。
  • PGE1療法

     突発性難聴の原因が血管障害であるのではないかということから、血管の透過性亢進や末梢循環改善作用のあるPGE1(プロスタグランディン)を用いる治 療法です。PGE1は点滴の形で患者さんに投与します。心臓や血管系に持病のある方には使えません。また、他の薬との併用注意がいくつかあります。
  • その他の治療法

     「星状神経節ブロック」と言って、患者さんの頸部に麻酔薬を注射し患側の神経節を一時的に麻痺させる治療法や、免疫系に作用する薬剤である「インター フェロン」製剤を用いて難聴の改善を図る治療法などがあります。非常に良い治療成績であると報告している施設もありますが、効果については自然治癒例と差がないとする指摘もあります。

最後に(注意事項)

 冒頭で書きましたように「突発性難聴」の治療で最も重要なことは早期受診、早期治療開始です。突然一側の耳の聞こえが悪くなったらすぐに最寄りの耳鼻咽喉科を受診して下さい。そして「突発性難聴」と 診断されたら、出来るだけ安静を保ち医師の指示にしたがって治療を受けて下さい。
 現在のところ、残念なことに本疾患の患者さんのうち2割程度は聴力の改善が認められません。また、3割ぐらいの方は完全回復しなかったり、聴力が戻っても耳鳴などの後遺症が残ったりします。しかし、最初の1週間を過ぎてしまうと後日いろいろな治療法を組み合わせても元の聴力には改善しないケースが多いのです。発症3日以内がしっかり治せるかどうかのゴールデンタイムとも言われていますので是非本疾患が疑われる場合は早めの受診をおすすめします。

※本サイトにおける「突発性難聴」の解説や各種資料の呈示につきましては、不特定多数の方が読まれることを前提に省略した部分も多数あります。また、特定の施設や治療法を推薦するものではないことを御了承の上、医師の診断を仰がれますようお願いいたします。

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