初めまして。1年次研修医の佐藤美羽と申します。
私は、他の研修医が頑なに触れてこなかったEPOCについて書こうと思います。
【EPOCとは】
EPOCとは厚生労働省が推奨する初期臨床研修の到達目標評価システムのことです。初期研修2年間のうちに55の症候・疾患を経験する必要があります。全国の研修病院で共通的に使われていますが評価方法は病院によって異なり、担当症例のサマリを提出すればいい病院もあれば、当院の様にレポートを提出する必要がある病院もあります。
例えば、「ショック」という症候に対して、アナフィラキシーショック、敗血症性ショック、出血性ショック、などどのようなショックでもいいのですが、自分が経験して、患者が入院となり、担当医に入った症例のみEPOCのレポートの対象として記載することが許されます。現病歴、既往、内服、生活歴、来院時バイタル、身体所見、検査所見をひとつひとつ記載し、診断、治療までは大学で課題になるレポートと似たようなものです。考察部分では、その疾患のガイドラインや自分が臨床上疑問に思ったことなどを調べて書きます。完成したらまずは上級医にチェックしてもらい、訂正を繰り返してようやく臨床研修センター長に提出できます。上級医の先生方は最新のガイドラインを貸してくださったり、考察に必要なヒントを与えてくださいます。毎回提出するたびに時間を奪って申し訳ない気持ちと、丁寧に指導への感謝の気持ちでいっぱいになります。
【メリット】
2年間で55の症候・疾患なので月に2-3個提出すればよい計算になります。ガイドラインを読むことはとても勉強になりますし、引用元の論文をたどることでエビデンスを深く理解できます。当院の研修医は皆口をそろえてEPOCがあってとても勉強になる、あってよかったといいます。また、内科専攻医登録評価システムであるJ-OSLERにも研修医の症例を使用することができるため(上限あり)、早い段階から症例を集めてレポートを書くことができるメリットがあります。
【実際の進捗】
私たちはEPOCのことを愛称を込めて「エポ」と呼んでおり、「何エポ終わった?」という会話が研修医室で飛び交っております。現在、研修医一年目トップのエポ修了率を誇る研修医は10月上旬時点で26エポ終了しており、次点で20エポと続いております。私は16エポ終了しており、ごく普通のペースです。1エポ終了に大体3時間+上級医からの指導・訂正が入るためトータル4-5時間は要します。現在麻酔科ローテ中で症例集めはストップしてしまうのですが、これまでに担当した症例が溜まっているので業務後や休みの日に少しでも進めたいです!
当院の救命救急センターの救急搬送受入要請への対応状況については下記のとおりです。
| 受付件数① | 不応需件数・理由 | 応需率 (①-②)/① |
|||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 多数受入中 | 2 専門科不在・検査不可 | 3 直近病院対応可能・軽症 | 4 その他 | 合計 ② |
|||
| 4月 | 267 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 99.6% |
| 5月 | 238 | 2 | 0 | 1 | 0 | 3 | 98.7% |
| 6月 | 265 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 99.6% |
| 7月 | 271 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 99.3% |
| 8月 | 290 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 99.0% |
| 9月 | 266 | 1 | 0 | 2 | 0 | 3 | 98.9% |
| 10月 | |||||||
| 11月 | |||||||
| 12月 | |||||||
| 1月 | |||||||
| 2月 | |||||||
| 3月 | |||||||
| 計 | 1,597 | 4 | 0 | 9 | 0 | 13 | 99.2% |
2025年10月28日(火)、29日(水)、当院の職員を対象とした研修を開催しました。この研修は必要な知識の習得やスキル向上を目的として毎年開催しており、今年はペイシェントハラスメントに関する事例紹介や対応方法の検討等を中心に行いました。
ペイシェントハラスメントに適切に対応することは、医療現場を守り、患者さんに良質で安全な医療を提供するためにも大変重要なことです。研修の参加者からは「
- 具体的な事例と対応策が明確になり、非常に実践的な内容でした。
- 職員が尊重され、安心して働ける環境こそが、患者さんへの安心・安全な医療提供に繋がると改めて認識しました。
- 組織全体での継続的な教育・訓練の重要性を強く感じ、大変有意義な研修でした。
」との感想が聞かれました。当院では今後ともこのような研修を開催しながら、職員が医療従事者としてさらに成長するよう努めてまいります。

