当院内科では主に呼吸器疾患、腎臓疾患、血液疾患、消化器疾患を中心に診療しています。

診療内容

分野別担当医師

  • 呼吸器病: 山口、天神、味志、古閑
  • 腎臓病: 西園、宮田
  • 血液病: 外山
  • 消化器病:平田、市成、金子、小野

主な検査治療

  • 呼吸器病: 気管支鏡検査、呼吸機能検査
  • 腎臓病: 血液透析、腹膜透析、内シャント形成術
  • 血液病: 骨髄穿刺
  • 消化器病:上下部消化管内視鏡検査、腹部超音波検査、内視鏡による大腸・胃ポリープ切除術

専門分野・特色

 当院は日本内科学会認定教育病院、日本呼吸器学会認定施設、日本血液学会認定施設、日本アレルギー学会認定教育施設となっています。

※消化器内科は現在、肝臓専門医が不在のため、肝疾患のご紹介、診療は承れません。

臨床研究:研究情報の公開(オプトアウト)

 通常、臨床研究を実施する際には、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施をします。
 臨床研究のうち、研究対象者(患者さん)への侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究や、余った検体のみを用いるような研究については、国が定めた指針に基づき、研究対象者(患者さん)お一人ずつから、必ずしも直接同意を得る必要はありませんが、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開し、さらに拒否の機会を保障することが必要とされております。このような手法を「オプトアウト」と言います。

 当科でオプトアウトを用いた研究は下記の通りです。
 なお、研究への協力を希望されない場合は、研究担当者までお知らせ下さい。

<研究課題名>
日常診療においてイブルチニブ治療を受けた日本人慢性リンパ性白血病患者を対象とした観察研究(CLL-Orbit

延岡病院_オプトアウト情報公開文書_Ver2.0

 

 総合診療科には、近隣の医療機関から、診断がつかない、もしくは、治療に難渋している患者様を紹介していただいています。当院の総合診療科は、「病院をいくつかまわっても原因がわからない」、「複数の病気を抱えていて、どのように治療をしていくべきかわからない」など、お困りの患者様の今後の治療の窓口になっています。総合診療科だけで診断および治療が完結するわけではありません。各専門診療科の先生方や看護師、薬剤師、栄養士、リハビリ、臨床心理士などスタッフ全員と情報を共有しながら、それぞれの患者様にあった治療の方向性を決定していくようにしています。

 入院診療については、綿密に議論を重ねながら診療方針を考えて、患者様と家族と十分な話し合いを重ねて、最終的な診療方針を決定してから治療を開始します。治療内容によっては適切な診療科に紹介をおこないます。

 最近では、患者様の医療に対するニーズが多様化し複雑化していて、簡単に解決できない健康問題は増えてきていますので、少しでも問題が解決できるように患者様と一緒に前に進めていければと思います。

臨床工学技士とは

 人の呼吸・循環・代謝に関わる生命維持管理装置の操作と、人工呼吸器や輸液ポンプなど各種医療機器を安心して使用できるように保守点検などをおこなう医療機器の専門医療職です。
 現在、当院の臨床工学科は13名のスタッフが在籍しており、人工心肺業務、補助循環業務、血液浄化業務、心臓カテーテル検査業務、手術室業務、ペーメーカ関連業務、カテーテルアブレーション業務並びに院内医療機器の保守管理業務をおこなっており、医師・看護師・医療スタッフと連携を図りチーム医療をサポートしています。
 夜間・休日はオンコール体制をとっており、24時間対応できるようになっています。また、学会等への参加や演題発表をおこない、日々レベルの向上と、安全・安心な医療を提供することに努めています。

手術室業務

 手術室では、人工心肺、誘発電位測定{運動誘発電位(MEP)モニタリング、体性感覚電位(SEP)モニタリング}、ペースメーカー植え込み時の立ち合い、血液浄化、心臓血管外科や整形手術での自己血回収装置の操作、手術機器の保守管理をおこなっています。また手術中の機器トラブル時には迅速な対応、手術の安全かつ円滑に進行することを心がけ、医師・手術室スタッフと協力しながら業務をおこなっています。

人工心肺

 心臓の手術(冠動脈疾患や弁膜症、大血管等)の際に必要な心臓や肺の働きの代わりを行う装置(人工心肺)や、心臓を保護しながら停止させる心筋保護液装置の操作や管理をおこなっています。

腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)

腹部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)

 EVAR・TEVARは大動脈瘤や大動脈解離に対して、開胸や開腹をおこなわずに治療する低侵襲の手術になります。

 臨床工学技士は清潔野に入り医師の補助業務をおこなっています。

誘発電位モニタリング{運動誘発電位(MEP)・体性感覚電位(SEP)}

 誘発電位モニタリングは、脳神経外科の手術の際に、手術により障害される可能性のある脳機能及び脳神経機能をモニタリングすることにより、術後の運動麻痺や体性感覚の機能障害を回避するためにおこなっています。

ペースメーカー植え込み時の立ち会い

 ペースメーカー植え込み時に、ペースメーカーの設定やデータの管理をおこなっています。
 ペースメーカー植え込みをされた患者さんの設定の定期チェックなども外来でおこなっています。

ペースメーカーリード除去の立ち会い

ペースメーカーのリードは経年劣化や摩耗による断線、免疫力低下によるリード感染が発生した場合リード抜去をおこなう必要があります。

抜去時、リードと生体組織が癒着しているとエキシマレーザーなどを使用して癒着を剥離していきます。

臨床工学技士は抜去術に立ち会い、ペースメーカーの設定管理や補助循環装置のスタンバイをおこなっています。

自己血回収装置の操作

 心臓血管外科の心臓手術や、腹部大動脈瘤の人工血管置換術、整形外科の人工股関節置換術など手術中に出血を伴う手術に使用しています。術野の出血を清潔に回収し、遠心分離を行い濃縮・洗浄し、洗浄赤血球として自己血輸血します。そのため、他家血の輸血量を減らすことができ、輸血による合併症等のリスクも低くなります。手術の進行状況や患者さんの全身状態を判断しながら操作、すぐに自己血輸血が出来るようにしています。

手術機器の保守管理

 手術室では多くの医療機器が使用されています。
 手術の際に安全に使用できるように、麻酔器・無影灯ベッドサイドモニタや電気メスの始業点検や定期点検などの保守管理をおこなっています。

補助循環業務

 急性冠症候群(ACS)や心原性院外心停止等に対し、体外循環式心肺蘇生法(ECPR)として使用する補助循環装置は自己の心機能が回復するまでの間、一時的に心臓と肺の機能を補助・代行する装置です。補助循環には、心臓が血液を全身に送り出すための圧力を補助する大動脈内バルーンパンピング(IABP)と、心臓が血液を全身に送り出すポンプ機能と、酸素と二酸化炭素を交換する肺の機能の補助をおこなう体外式膜型人工肺(ECMO)、ポンプが内蔵されたカテーテルを心臓内に挿入し、心臓から血管内に血液を送り出す補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA)があります。症例によっては、ECMO+IABPやEVMO+IMPELLA(ECPELLA)といった補助循環装置を併用するものもあり、臨床工学技士がそれらの操作及び管理をおこなっています。

心臓カテーテル検査業務

 心臓カテーテル検査・治療では、心臓の栄養血管である冠動脈や心臓の動き、不整脈の原因などを調べるためにおこなう検査の補助業務や、急性心筋梗塞や狭心症の治療をおこなう際の補助業務をおこなっています。
また、医師の補助業務をおこなうと共に補助循環装置(IABP・ECMO・IMPELLA)を使用する際の操作や管理をおこなっています。

カテーテルアブレーション業務

 カテーテルアブレーションとは心筋組織をカテーテルで焼灼し、不整脈の原因となる異常な電気興奮を遮断する治療になります。臨床工学技士の業務としては、心内心電図解析装置及びプログラム刺激装置の操作、三次元マッピングシステムの操作をおこない治療のサポートをおこなっています。

心臓植え込みデバイス業務

 平成23年度より心臓植え込みデバイス業務を開始、ペースメーカープログラマー(ペースメーカー解析 装置)を使用し、循環器内科・心臓血管外科外来でペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)や両室ペーシング機能付植え込み型除細動器(CRT-D)の定期的な確認を、医師の指示のもと実施しています。また、遠隔モニタリングシステムを活用し、自宅にいながらリードやバッテリーなどの不具合、不整脈並びに治療内容を早期に病院で確認しています。

血液浄化業務

 血液浄化業務としては、持続的血液透析濾過(CHDF)、持続的血液濾過(CHF) 、持続的血液透析(CHD)、血漿交(PE)、血漿吸着(PA)、直接血液還流(HA)、二重濾過血漿交換(DFPP)等をおこなっています。
難治性腹水の症例に対しては、腹水濾過濃縮再静注(CART)も施行しています。人工透析室業務では、透析液の水質管理や透析機器のメンテナンス、穿刺業務や透析中のトラブル対応をおこない、安全な透析治療をおこなえるように日々努めています。

機器管理業務

 臨床工学科では、機器管理システムを用いて、バーコードリーダーを使用した貸出・返却をおこなっています。機器管理システムには院内にある医療機器(約3,500台)が登録されています。人工呼吸器、輸液・シリンジポンプ、除細動器、低圧持続吸引器等の日常点検や定期点検をおこない安全に使用できるように努めています。また、院内のME機器のトラブル対応にも取り組んでいます。

患者搬送

 当院では補助循環装置を装着したまま他院へ搬送されるケースがあり、細心の注意が必要となります。臨床工学技士が搬送に介入し、補助循環装置の操作およびトラブル対応をおこなっています。

勉強会 OJT

 医療機器を使用するのは、主に医師や看護師であり、使用するにために正しい使用方法やトラブル時の対処方法を熟知していなければ、医療事故につながる危険性があります。当院では、入職者を対象に輸液・シリンジポンプ、人工呼吸器等の学習会や、関連病棟には急性血液浄化や補助循環装置等の勉強会も開催しています。

実習生の受け入れ

 実習生の受け入れ臨床実習指導をおこなっています。臨床実習を通じて地域医療や後進育成に尽力しています。

 3名の常勤麻酔科医で手術麻酔を担当しています。ICU日勤およびER当直もいくらか担っています。また、院内での緩和ケア活動にも関わっています。後述しますが、当科の研修を希望する方へは、多角的な充実した指導(on the job)と各種講習受講斡旋・補助(off the job)をご用意いたします。

診療内容

麻酔

 麻酔科依頼手術における麻酔・術中全身管理、その合間をぬって術前・術後回診を行っています。それ以外の当科手術においても、必要に応じて周術期管理をお手伝いしています。時間外・休日のオンコールは麻酔科医1名対応です。

集中治療

 麻酔科医が担う業務としては、平日の日勤を交互に専従しています。1名がICU室長を担当、それ以外にも積極的にICUの患者管理に協力しています。

救急

 適宜診療協力し、ER当直は麻酔科医1人が担当しています。

緩和ケア

 必要に応じ診療しています。

専門分野・特色

 麻酔科標榜医(厚生労働省)資格審査基準において麻酔に関する適当な指導者のいる病院として規定される麻酔科認定病院です。
 主たる専門分野の周術期麻酔管理のみならず、集中治療の診療、救急や集団災害や緩和医療への協力も行っており、それらにおいても専門性を発揮できる集団となることを目標にしています。

 ≪準備中≫

令和5年10月1日以降

松田 松田

※休診日有り(要事前確認)

※紹介状をお持ち下さい。

 肺癌をはじめとする胸部の悪性腫瘍、重症感染症、外傷や気胸など胸部の緊急処置を要する患者さんの診断と治療(検診異常の精密検査、気管支鏡検査、手術、化学療法、緩和ケア)を行う診療科です。

 宮崎大学呼吸器乳腺外科との連携を図り、呼吸器疾患全般についての料を行っております。

 他病院で手術を受けた患者さんの術後フォローや、手術と関係なさそうな呼吸器疾患患者さんの入院治療も行っております。お気軽にご相談ください。

診療内容

  • 肺腫瘍・・・・・・・・原発性肺がん、転移性肺がん、良性肺腫瘍、等
  • 縦隔腫瘍・・・・・・・胸腺腫、奇形腫、等
  • 気胸・・・・・・・・・自然気胸、続発性気胸
  • 胸部外傷・・・・・・・肋骨骨折、外傷性血気胸
  • 炎症性疾患・・・・・・重症肺炎、肺化膿症、膿胸
  • 各種精査・・・・・・・胸水、頸部~胸部リンパ節腫大、肺異常陰影の精査
  • その他・・・・・・・・心膜炎、漏斗胸、胸壁腫瘍 など

1)原発性肺がん

このページに行き着いた方へ

 健康診断でレントゲン異常の通知を受け取った方、たまたま撮った胸のレントゲンで異常が見つかった方、あるいはご家族が肺癌と診断された方、なにかしらの症状がある方、大変な不安と心配を抱きながらこのページをご覧になられていると思います。肺がんだったらどうなるのか、この先どうなってしまうのか。さまざまな不安が心をよぎる事でしょう。そのストレスの大きさは当事者でないと分からないものです。不安で精密検査に踏み切れない方もおられるともいますが一日も早く呼吸器専門病院を受診することをお勧めします。

当科の肺癌診療

 最新の肺癌診療ガイドラインに沿った最良の検査と治療をおこなうとともに、心のケアを大切にしています。患者さんとご家族が十分理解納得して検査や治療を受けていただけるよう、わかりやすく何度でも説明させていただきます。

検診や健康診断で胸部レントゲン異常を指摘されたら

 検診異常を主訴に時間外受診される方もおられる程、レントゲンに異常がみつかった患者さんは大きな不安をいだきます。その不安をすこしでも早く取り除くために、当院では電話で予約していただければ当日~2日以内を原則にCT検査をおこないます。料金は3割負担の方で4000~5000円です。CT検査は2~3分で終わり、痛みは全くありません。結果は原則当日検査終了後に呼吸器外科医師がお伝えします。CT検査で本当に治療を要するような肺がんが見つかる割合は50人に1人くらいです。つまり49人は不要な心配を背負って過ごしていることになります。まずは勇気をもって精密検査をうけましょう。

普通のレントゲン
普通のレントゲン
CT
CT(右中葉に肺癌があることがわかります。)

レントゲンでは見えにくい影もCTでは一目瞭然です。

肺がんが疑われるときの検査

 CT検査で本当に肺がんが疑われた場合、気管支鏡と呼ばれる内視鏡で病変の一部を採取することがあります。またがん細胞が生きていくうえで正常細胞よりたくさん栄養を使うことを検出するPET(ペット)検査をすることがあります。これらの検査結果を総合的に判断し、肺がんかどうかとその進行度を診断します。

PET検査で描出される肺がん
PET検査で描出される肺がん

気管支鏡検査
口から気管支鏡を入れて、肺の病変の一部を採って細胞を調べる検査です。
呼吸器内科の先生を中心に外来(日帰り)でおこないます。

肺がんと診断されたら

 肺がんの治療には手術、放射線治療、化学療法(免疫療法含む)などがあります。また症状を和らげるための緩和治療も重要な治療のひとつです。がんの種類や病気の進行具合からどの治療法がよいかを決定し、場合によってはこれらを組み合わせて治療します。当院では診断から治療まで、呼吸器内科専門医、呼吸器外科専門医、放射線治療医、癌治療認定医の資格を持った複数の医師が携わり、患者さん一人ひとりの治療方針を会議で決定します。

カンファレンスの様子

カンファレンスの様子
 専門医資格を持った呼吸器内科、呼吸器外科の医師の他、薬剤師、病棟看護師、地域連携科等他職種スタッフが意見を出し合います。
 複数ある治療方法のうち、個々の患者さんに最適な治療方法を会議で決定します。

肺がんに対する手術治療

どうやって切るのか?

 2010年頃までの肺の手術は肋骨を切断して大きな傷をつけて胸を開く開胸手術が基本でした。しかし最近はほとんどの症例で胸腔鏡による内視鏡手術を行っています。内視鏡手術は切除した肺を体外にだすために最小限必要な傷(3~6cm程)だけで行う手術方法で、開胸手術に比べて痛みや体のダメージが少ないメリットがあります。これによって体力が低下した方や高齢の方でも低侵襲に手術ができるようになりました。さらに合併症がある患者さんも安心して手術を受けていただくために、内科、麻酔科、循環器科、心臓外科、リハビリテーション科など、他科との連携の下に手術を行っています。

開胸手術の傷
胸腔鏡手術の傷
胸腔鏡手術の様子

胸腔鏡手術の様子
テレビモニターで胸の中を見ながら手術します。

肺をどれくらい切るのか?

 人間には右に3つ、左に2つの肺があります。それぞれを葉っぱに例えて右上葉、右中葉、右下葉、左上葉、左下葉と呼ばれます。肺癌はこれら肺葉の中の血管やリンパ管を介して全身に転移します。このためがんの部分だけを小さく切り取ると高率に再発します。当院では手術前に専門的な検査を行い、術後どの程度呼吸に影響がでるかを高い精度で計算し、必要十分な肺の切除量を決定します。

腫瘍が大きい場合は転移や再発の可能性を減らすためにがんができた肺葉とリンパ腺を取り除きますが、腫瘍が小さいうちであれば腫瘍がある区域だけをとる手術も可能です。 

肺を切るとどうなるのか?

 当然ながら切り取った分の肺活量が減ります。しかし肺は5つあります。残りの肺に病気がない方であれば1つくらいとっても日常生活にほとんど影響ありません。残りの4つの肺が膨らみ、失った肺を代償するからです。さらに腫瘍が小さいうちであれば主要部分だけを切除することも可能で、この場合術前後で呼吸機能は殆ど変わりません。 当院の検討では肺葉切除を受けた患者さんでも、そのほとんどは手術前の90%以上の運動能力が退院時保たれていました。肺切除3か月目でハーフマラソンを完走された方もおられます!

ICUでのリハビリの様子
術後2日目のリハビリの様子

 手術当日は、ICUまたはHCUに入室し、看護師によりリハビリが行われます。原則術当日から食事を開始し、歩行訓練をします。
ほとんどの患者さんが術後3~6日で退院されます。術後1~2週で仕事復帰可能です。

肺がんに対する化学療法

 化学療法、つまり抗癌剤の治療は近年目覚しい進歩を遂げています。一昔前に比べ少ない副作用で大きな効果が期待できる薬剤が多数登場してきました。また遺伝子検査や免疫染色法を駆使して、どの抗癌剤が最も効果を発揮するか事前予測が可能になってきました。当科では効果はもちろん、患者さんの体力や職業、社会背景、経済的問題なども考慮し、スタッフ間で検討したうえで投与薬剤を決定します。
 また、地理的要因などで他院での治療が困難になった方の継続治療も受け入れております。
 治療が患者さんの生活の負担にならないように外来で化学療法を行うことを基本としています。実際当院で通院治療しながら、治療日以外は普通に仕事をされている患者さんが何人もいらっしゃいます。一方体力的に不安が残る方、希望が強い方に対しては入院による投与をおこなっています。

肺がんに対する当院の放射線治療

症状緩和に対する治療はもちろん、手術できない症例に対する放射線化学療法、術前後の補助療法をおこなっています。治療そのものには痛みはありません。しかし放射線による食道炎や肺臓炎が起こることがあるため、放射線科医と緊密に連絡を取りながらおこないます。

肺がん治療をうける患者さんに対する社会的支援、家族支援

 ○当科では仕事と治療の両立支援に積極的に取り組んでいます。肺癌と診断されても仕事を辞める必要は全くありません。決して肺癌と診断されても仕事を辞めないでください!!当科では病状が許す限り、患者さんの都合に十分配慮した治療計画を提案させていただきます。特に仕事を続けながら癌治療を受けていただく患者さんを全力で応援、サポートします。手術日程や外来予約等、お仕事への影響が最小限となるように配慮させていただきます。

○経済的な不安を抱えておられる患者さんには治療費負担がなるだけかからないような治療を検討し、傷病手当や障害年金など、利用できる社会保障を提案し、手続きのお手伝いをします。

○必要に応じて来院が困難な遠方のお住まいのご子息やご家族に対しても配慮した説明を行います。ご本人からの同意がいただければ遠方のご家族等のキーパーソンの方に電話で病状を説明させていただ来ます。

2)縦隔(じゅうかく)腫瘍

 左右の肺に挟まれた胸の中央辺付近を縦隔といいます。縦隔にできる腫瘍としては胸腺腫や奇形腫などが多く発生します。小さい腫瘍であれば胸腔鏡(内視鏡)を用いて小さい傷で切除します。悪性度が高いものや大きいものでは胸骨を切開して手術をおこないます。

胸腺腫という縦隔腫瘍のCT写真

3)気胸(ききょう)

 何かの拍子に肺が破け、吸った空気が肺の外に漏れる状態(肺のパンク)を気胸といいます。肺が破ける原因は肺表面にブラと呼ばれる薄く弱い部分ができるためです。ブラは若くて背の高い男性の肺上部に多く発生します。パンクの状態が軽度の場合は安静で治療しますが、空気漏れがひどい場合は胸に空気抜きの管を入れて脱気(ドレナージといいます)をします。しかし安静や脱気だけで治療した場合、ブラは残っていますので再発することがあります。再発を繰り返す場合や、明らかに破れそうなブラがある場合は初回でも手術でブラを切除することをお勧めしています。当院では若い人に発生する、いわゆる特発性気胸に対するブラ切除はほぼ全例胸腔鏡下におこなっています。

肺の表面が薄くなった部分に穴が開いて肺がパンクしています。
1cm程の穴を3つあけます。
パンクしている部分を切り取ります

4)胸部外傷

 大部分は打撲による肋骨骨折を伴っています。肋骨骨折自体はほとんどの場合手術等の処置を必要とせず自然治癒します。しかし胸の中に内出血する血胸や肺が破けて胸の中に吸った空気がたまる気胸を伴っている場合、胸の中に管を入れて血抜きや空気抜きをする必要があります。痛みが強かったり、治りが悪い場合手術が必要なことがまれにあります。

5)炎症性疾患

肺炎がこじれると肺と胸の壁の間で菌が繁殖し膿胸という状態になることがあります。体力が弱っていたり、歯が悪い方に発生することが多く、治癒までに何ヶ月もかかったり、後遺症を残すことがある大変厄介な病気です。当科では膿胸の早期から胸腔鏡を用いた治療を行い、治療期間の短縮に勤めています。

6)内科的呼吸器疾患

薬物療法で改善しない慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する容量縮小手術、慢性咳そう(長びく咳)の精査、原因不明の胸水や心嚢水の精査と治療を行っています。これらの病気には肺癌や結核といった、恐ろしい病気が隠れていることがあります。当科ではこれらを見逃さないために、疑いがある患者さんにはCTや喀痰検査などの精密検査を行うことを勧めています。また内科的にはどうしても診断がつかない胸水や肺炎、肺の影に対して胸腔鏡検査を実施しています。

セカンドオピニオン外来

  • 主治医の診療内容に関する別の医師の意見をセカンドオピニオンといいます。当センターでは他院における肺癌、縦隔腫瘍の診療に関する相談外来(セカンドオピニオン外来)を保険診療外で行っております。
  • 患者さんご本人の来院を原則とします。もしご本人が来院できない場合はご家族だけでも結構ですが、その場合ご本人の相談同意書の持参をお願いします。
  • 来院時、主治医から
    • 診療情報提供書
    • レントゲンフィルム
    • CT・MRI検査のフィルムまたはCD-ROM
    • 各種検査結果記録(血液検査、病理検査など)
    を用意してもらい、ご持参ください。
  • 相談時間は持参された資料を拝見する時間を含めて基本30分ですが60分まで延期可能です。
  • 完全予約制です。当院医療連携科にお問い合わせください。

以下の場合セカンドオピニオンのご依頼をお断りさせていただきます。

  1. ご本人、ご家族以外からの相談。ご家族でもご本人の相談同意書を持参されていない場合。
  2. すでに死亡した患者さんに関する相談。
  3. 主治医に対する不信感や不満に関する相談。医療訴訟に関する相談。
  4. 行われた検査の資料や診療情報提供症例をお持ちでないとき。主治医がセカンドオピニオンを受けることを承諾していないとき。

 常勤医3名、看護師2名、歯科衛生士3名で日々の診療をおこなっております。

診療内容

 外来診療日は、火〜金曜日(月曜日、および木曜日午後は手術日)です。

 当科外来での主な診療内容は、腫瘍、・嚢胞・膿瘍・埋伏歯・顎関節症・顎関節脱臼・外傷(骨折、軟組織損傷、歯牙脱臼)・三叉神経痛・口腔粘膜疾患などで、また当院入院中、あるいは全身疾患のある方の口腔ケアもおこなっております。

 入院については、腫瘍・嚢胞・膿瘍・外傷・先天奇形・唾液腺疾患などを中心におこなっております。
 また、悪性腫瘍に対する集学的治療(手術・化学療法・放射線療法)もおこなっております。

専門分野・特色

(公社)日本口腔外科学会関連研修施設

歯科臨床研修医の募集について

県立延岡病院では、研修歯科医を募集しています。
 →詳しくはこちらをご覧ください。

 当院リハビリテーション科は、理学療法士10名、作業療法士5名、言語聴覚士3名、リハビリ助手4名、受付クラーク2名の24名体制にて、入院患者様を主とした急性期リハビリテーションをおこなっています。

診療内容

 当院は県北地域の中核病院として、全診療科を対象に、発症・術後早期からの急性期リハビリテーションを実施しています。ICU・HCU・一般病棟から早期離床を開始し、身体状況に応じて、リハビリテーションセンターや心臓リハビリテーション室にて介入しています。

施設基準

  • 心大血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)
  • 脳血管疾患リハビリテーション(Ⅰ)
  • 廃用症候群リハビリテーション(Ⅰ)
  • 運動器リハビリテーション(Ⅰ)
  • 呼吸器リハビリテーション(Ⅰ)
  • がん患者リハビリテーション
  • 摂食機能療法

資格取得一覧

認定理学療法士(運動・発達障害)・心臓リハビリテーション指導士・3学会合同呼吸療法認定士・認知症ケア専門士・宮崎地域糖尿病療養指導士・日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士・福祉住環境コーディネーター2級・がんのリハビリテーション研修会修了・臨床実習指導者講習修了・ICLSコース修了

専門分野・特色

 チーム医療として、回診(脳神経外科・整形外科)、カンファレンス(内科・循環器内科・心臓血管外科・各科病棟・排尿自立・レントゲン・嚥下・ケース)、ラウンド(呼吸ケアサポートチーム・緩和ケア・栄養サポートチーム・認知症ケア)等、施設基準にあわせて各部門と密にコミュニケーションを図りながらリハビリテーションを進めています。

 脳神経外科領域の疾患全般にわたり特殊検査・手術を含めた急性期の専門治療を行っています。

診療内容

代表的疾患

  • 脳血管障害
    脳出血、くも膜下出血(破裂脳動脈瘤が主な原因)、一部の脳虚血疾患(脳梗塞、一過性脳虚血発作など)で手術効果のあるもの。
  • 脳腫瘍
    脳実質(脳そのもの)から発生するもの、脳を包む髄膜より発生するもの、脳以外の部位の癌が頭蓋内に転移するもの(転移性脳腫瘍)、下垂体腫瘍、松果体腫 瘍、脊髄に発生するものなど。
  • 小児脳神経外科
    先天性・二次性水頭症、二分脊椎(頭や背中に瘤を形成するもの)など。

脳神経外科の主な症状

  • 意識障害(眠り込んで眼が開かない、ぼーっとしている)、頭痛、めまい、嘔吐、けいれん、麻痺(顔、手足に力が入らない)、手足のしびれ、複視(ものが二つに見える)、視野障害(見える範囲がせまくなった)、言語障害(しゃべりかたがおかしい、ことばがでない、ことばの理解が悪い)、歩行障害、顔面が痛い、痴呆の急速な進行

神経放射線診断

  • 単純X線診断、CT(コンピューター断層撮影)、3D-CT(三次元CT)、MRI(磁気共鳴画像)、SPECT(脳血流シンチ)、脳血管撮影などがあります。

外来診療日  月 水 金(午前)
予定手術日  火 木

救急診察は常時対応しますので、脳神経外科外来(時間外は救急外来)を通じてご連絡ください。

専門分野・特色

 当院は、日本脳神経外科学会専門医認定訓練施設に指定されています。

 すべての患者さんに手術が必要なわけではありません。手術の効果とリスクを十分検討し、患者さんにとって最も有益な治療を選択します。

 くも膜下出血を起こす前の未破裂脳動脈瘤の治療、脳腫瘍の先端治療(手術・化学療法・放射線療法などを組み合わせた集学的治療)を行ない、重症頭部外傷に対する集中治療(手術・薬物による脳保護療法と呼吸循環管理・体温管理)を積極的に行っています。

 また、リハビリ科の協力のもと早期リハビリや栄養管理科と協力し脳卒中再発予防の栄養指導、高齢者に対する退院後のケアー(在宅・施設入所)の相談を行っています。