臨床工学科
臨床工学技士とは
人の呼吸・循環・代謝に関わる生命維持管理装置の操作と、人工呼吸器や輸液ポンプなど各種医療機器を安心して使用できるように保守点検などを行う医療機器の専門医療職です。
現在、当院の臨床工学科は8名のスタッフが在籍しており、人工心肺業務、補助循環業務、血液浄化業務、心臓カテーテル検査業務、手術室業務、ペーメーカ関連業務並びに院内医療機器の保守管理業務を行っており、医師・看護師・医療スタッフと連携を図りチーム医療をサポートしています。
夜間・休日はオンコール体制をとっており、24時間対応できるようになっています。また、学会等への参加や演題発表を行い、日々レベルの向上と、安全・安心な医療を提供することに努めています。
手術室業務
手術室では、人工心肺、誘発電位測定{運動誘発電位(MEP)モニタリング、体性感覚電位(SEP)モニタリング}、ペースメーカー植え込み時の立ち合い、血液浄化、心臓血管外科や整形手術での自己血回収装置の操作、手術機器の保守管理を行っています。また手術中の機器トラブル時には迅速な対応、手術の安全かつ円滑に進行することを心がけ、医師・手術室スタッフと協力しながら業務を行っています。
人工心肺
心臓の手術(冠動脈疾患や弁膜症、大血管等)の際に必要な心臓や肺の働きの代わりを行う装置(人工心肺)や、心臓を保護しながら停止させる心筋保護液装置の操作や管理を行っています。


誘発電位測定{運動誘発電位(MEP)モニタリング}
体性感覚電位(SEP)モニタリングは、脳神経外科の手術の際に、手術により障害される可能性のある脳機能及び脳神経機能をモニタリングすることにより、術後の運動麻痺や体性感覚の機能障害を回避するために行っています


ペースメーカー植え込み時の立ち合い
ペースメーカー植え込み時に、ペースメーカーの設定やデータの管理を行っています。
ペースメーカー植え込みをされた患者さんの設定の定期チェックなども外来で行っています。


自己血回収装置の操作
心臓血管外科の心臓手術や、腹部大動脈瘤の人工血管置換術、整形外科の人工股関節置換術など手術中に出血を伴う手術に使用しています。術野の出血を清潔に回収し、遠心分離を行い濃縮・洗浄し、洗浄赤血球として自己血輸血します。そのため、他家血の輸血量を減らすことができ、輸血による合併症等のリスクも低くなります。手術の進行状況や患者さんの全身状態を判断しながら操作、すぐに自己血輸血が出来るようにしています。

手術機器の保守管理
手術室では年間約2500件の手術が行われており、多くの医療機器が使用されています。
手術の際に安全に使用できるように、麻酔器・無影灯ベッドサイドモニタや電気メスの始業点検や定期点検などの保守管理を行っています。



補助循環業務
急性冠症候群(ACS)や心原性院外心停止等に対し、体外循環式心肺蘇生法(ECPR)として使用する補助循環装置は自己の心機能が回復するまでの間、一時的に心臓と肺の機能を補助・代行する装置です。補助循環には、心臓が血液を全身に送り出すための圧力を補助する大動脈内バルーンパンピング(IABP)と、心臓が血液を全身に送り出すポンプ機能と、酸素と二酸化炭素を交換する肺の機能の補助を行う経皮的心肺補助装置(PCPS)があり、それらの操作・管理を行っています。


心臓カテーテル検査業務
心臓カテーテル検査・治療では、心臓の栄養血管である冠動脈や心臓の動き、不整脈の原因などを調べるために行う検査の補助業務や、急性心筋梗塞や狭心症の治療を行う際の補助業務を行っています。
また、医師の補助業務を行うと共に補助循環装置(IABP・PCPS)を使用する際の操作や管理を行って います。2015年度の心臓カテーテル検査は977件、治療件数は405件となっています。




ペースメーカー関連業務
平成23年度よりペースメーカー関連業務を開始、ペースメーカープログラマー(ペースメーカー解析 装置)を使用し、循環器内科・心臓血管外科外来でペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)や両室ペーシング機能付植え込み型除細動器(CRT-D)の定期的な確認を、医師の指示のもと実施しています。



血液浄化業務
血液浄化業務としては、持続的血液透析濾過(CHDF)、持続的血液濾過(CHF) 、持続的血液透析(CHD)、血漿交(PE)、血漿吸着(PA)、直接血液還流(HA)、二重濾過血漿交換(DFPP)等を行っています。
難治性腹水の症例に対しては、腹水濾過濃縮再静注(CART)も施行しています。人工透析室業務では、透析液の水質管理や透析機器のメンテナンスを行い、安全な透析治療を行えるように日々努めています。
機器管理業務
臨床工学科では、機器管理システムを用いて、バーコードリーダーを使用した貸出・返却を行っています。機器管理システムには院内にある医療機器(約3,500台)が登録されています。人工呼吸器、輸液・シリンジポンプ、除細動器、低圧持続吸引器等の日常点検や定期点検を行い安全に使用できるように努めています。また、院内のME機器のトラブル対応にも取り組んでいます。

勉強会 OJT
医療機器を使用するのは、主に医師や看護師であり、使用するにために正しい使用方法やトラブル時の対処方法を熟知していなければ、医療事故につながる危険性があります。当院では、入職者を対象に輸液・シリンジポンプ、人工呼吸器等の学習会や、関連病棟には急性血液浄化や補助循環装置等の勉強会も開催しています。


研修医・実習生の受け入れ
研修医のへき地医療研修プログラム(地域医療臨床研修プログラム)の一環として、1週間の臨床工学科の研修、臨床実習生の受け入れとしては、九州保健福祉大学 保健科学部 臨床工学科の臨床実習指導を行っています。臨床実習を通じて地域医療や後進育成に尽力しています。

