熊本大学医学部附属病院 2011年度臨床研修医
川上 由香里さん
塩見 祐子さん
瀧井 玲さん
【 川上 由香里さん 】
2011年10月からの宮崎県立延岡病院での研修が終わりました。1年目のときは、1年は長いと思っていましたが、2年目になったらあっという間に終わりました。
私は、2年間ある臨床研修のうち、大学で1年、外病院で1年の研修がしたかったので、熊本大学の研修プログラムを選びました。特に、外病院の選択で重視したのは、①救急当直があり、研修医がある程度主体になってできること、②救急外来に来る症例に大きく偏りがないこと、③将来選択する科を決めるのに参考にするため診療科がたくさんあること、の3つでした。この条件に当てはまっており、なおかつ1年間は熊本を離れて田舎でゆっくり過ごしたかったので、迷わず延岡病院を選びました。
救急当直をしたくて延岡病院を選んだものの、初めての当直では患者さんは多いし、深夜も何度も起こされるし、日中の診療もあるし、寝不足が続き、正直きつかったです。初めはストレスを感じながら当直をしていましたが、徐々に自分のできることが増えてくると、当直が楽しくなり、ストレスを感じなくなっていきました。2年目になって当直にも慣れてくると、患者さんの疾患の診断をつけ、指導医の先生に納得してもらえるようなプレゼンができたり、軽い外傷患者さんの縫合ができるようになったりすると、楽しくてもう少し当直が増えてもいいのに、とも思いました。日中の診療では、それぞれ研修している科の特殊性もあり、患者さんに対して診察する部位が偏りがちですが、1年を通して当直することによって、患者さんを一通り診察する癖がついたのはよかったと思います。
救急当直だけでなく、日中の診療でも、どの科の先生もたくさん指導して下さいました。私は産婦人科(1か月)、小児科(2か月)、内科(3か月)、皮膚科(2か月)、整形外科(3か月)で研修しましたが、内科系、外科系ともにバランスよく研修でき、私の求めていた通りの研修ができたと思っています。
また、研修していない科の先生でも、当直で一緒になって指導して下さるし、お願いすれば快く色々なことを教えて下さいました。私は、病理解剖に入った症例について、病理の先生にお願いして一緒にCPC報告会をさせてもらいました。また、麻酔科の先生は朝、救急・麻酔科研修中の研修医に対してJATECの講義をされていて、私は他の科を研修中でしたがお願いして一緒に参加させてもらったりしました。
こんなに病院中の先生に良くしていただいて、本当に延岡病院を選んで良かったなと思いました。日中の診療だけでなく、夜も色々なおいしいお店に飲みにも連れて行って下さいました。わずか1年で延岡のおいしいお店を制覇してしまったかもしれません。
延岡は、研修医になったばかりの大事な1年を過ごしたところなので一生忘れません。救急当直を頑張ることの他に、もう1つの目標だった、「延岡にいる間に将来の診療科を決める」という目標も無事に達成できました。今は熊大で残り半年の研修をしているところですが、今後、研修が終わった後も、延岡病院で学んだことを忘れずに頑張っていきたいと思います。
【 塩見 祐子さん 】
熊本大学医学部付属病院研修医2年目の塩見祐子です。私は1年目の10月から2年目の8月までの1年間延岡で研修させて頂き、救急・麻酔科、産婦人科、小児科、循環器内科、内科をローテートしました。あっという間の1年で、とても充実した研修だったと思います。
私なりに考えた、延岡での研修の特徴は大きく3つあると思います。
一つ目は救急外来の当直です。どの科をローテートしても月に5~6回の当直があります。当院は宮崎県北部の中核病院であるため一次救急~三次救急まであらゆる重症度の患者さんが来院され、研修医はすべての患者さんの初療にあたります。異動してきたばかりの時は、救急現場ということだけで戸惑っていましたが、指導医の先生のもと、徐々に救急外来の考え方や対応の仕方が身に付き、できることが増えていきました。考え方はもちろん、ルート確保や血ガス、気管挿管、CVルート確保など様々な手技を経験させて頂きました。
二つ目は、指導環境の充実です。どの科の先生方も、いつも丁寧に御指導下さってとても有難かったです。一から丁寧に御指導頂き、徐々に研修医に任せてくださって、自分でも成長できているなぁと感じることができました。まわっている科以外の先生も、科の垣根を越えて手技をさせて下さったり、診療で悩んだことを優しく教えて下さいました。
またコメディカルの方もとても優しく声をかけて下さり患者さんの情報を教えて下さったり、病棟、外来、手術室、検査室で、本当に沢山のことを教えて頂きました。外傷の勉強会を一緒に開いたり、コメディカルの方主催の勉強会にも誘って頂いたり、エコーも教えて下さったりと本当に沢山のことを勉強できました。
三つ目はoff the jobトレーニングの充実です。1年間の研修の間にAHAのBLS、ACLSのプロバイダーコースを受講させて頂けます。また「緩和ケア研修会」も受講し、癌患者さんの疼痛コントロールの治療薬や在宅ケアの流れなど勉強させて頂き、日常診療での視野が広がりました。また月2回開かれる「研修医セミナー」では、各科の先生方に、その科における救急疾患について講義、実習を開いていただき、普段の救急外来で疑問に思っていたことを解消でき、知識を増やせる良い機会を頂きました。また年2回開かれる「病院学会」では日常診療で研究したことを発表する場を与えて頂き、統計処理やパワーポイントの作り方を勉強させて頂きました。
私自身、当院での研修を自ら希望したものの宮崎県は初めてで来るまではとても不安でした。ですがどの科の先生もお忙しい中丁寧に指導をしていただき、また沢山の手技を経験させて頂きました。宮崎北部の中核病院といえども医師数は十分とは言えません。だからこそ私たち研修医も責任ある立場で診療にあたれたことは今後の医師人生に十分役立つものと思います。
また当院は管理型、宮大、熊大の各プログラムから研修医を受け入れており、研修医室はいつもとても賑やかです。お互い経験したり悩んだりした症例について話し合ったり、教え合ったりいい刺激を受けました。またプライベートではお互いの誕生日会や飲み会を沢山開いたり、県外へ旅行にいったりと、よく学びよく遊んで本当に楽しい1年間を過ごすことができました。本当に信頼できる仲間と出会えたのはこの1年間の宝物と思います。
延岡病院で学んだことを今後の医師生活で活かせるよう、今後もますます頑張りたいと思います。先生方、コメディカルの皆様、宮崎延岡の皆様、本当に1年間有難うございました。
【 瀧井 玲さん 】
あっという間に1年間の研修を終えました。
私は、熊本大学の臨床研修プログラムで、初めの6カ月間を大学病院で過ごした後、昨年10月から1年間県立延岡病院で研修させていただきました。
私は宮崎県の県北地域出身のため、地元に久々に戻りたいという軽い気持ちで県立延岡病院を研修先として選択しましたが、それでも初めての当直が始まるということで延岡へ向かうときは緊張していたのを覚えています。
延岡病院は、宮崎県北における高度医療、救急医療を担う地域中核病院であり、軽症から重症まで様々な症例を経験します。当直においては研修医は初期診療に携わりますが、一緒に当直をしてくださる先生方の手厚い御指導のもと、実践的な医療の考え方や手技を学ぶことができます。初めは不安に感じていた当直も、先生方や優しくサポートしてくださる看護師の方々のおかげで以前より落ち着いて診療にあたることができ、診断、治療方針の検討を行ったり、様々な手技の習得を図ることができました。
指導医の先生方は、忙しい診療の中本当に熱心に研修医へご指導してくださいます。普段の診療に加え、月2回の『研修医セミナー』、また研修医のスキルアップを兼ねた『縫合コンテスト』や『院内発表』を開催してくださり、実際の診療現場以外の場面でも大変充実した研修を行うことができました。
先生方やコメディカルスタッフも気さくな方々ばかりなので、気負わず診療において疑問に思う点を相談できます。科や職種の垣根を越えた交流ができるのも大学病院ではなかなか経験できない本病院の魅力です。
最後に、もう1点魅力的なのは研修医同士が大変仲が良いことです。普段の診療では互いに切磋琢磨しながら仕事に励みますが、プライベートでは皆でご飯へ行ったり、予定をあわせ旅行にも行きました(宮崎市内、高千穂、熊本、別府など)。延岡で出会った仲間達はかけがえのない存在です。
大変熱心に診療される各専門の先生方がおり、研修先としても大変有意義な研修を行うことのできる病院が延岡にあることを、県北出身の1人として誇りに感じた1年間でした。
貴重な研修期間に延岡で勉強でき、素晴らしいスタッフの方々に出会えたことを幸せに思います。医師としての人生はこれからまだ長いですが、ここで学んだことを決して無駄にしないよう今後も努力していきます。
1年間、本当にありがとうございました。