九州大学歯学部5年 工藤幸暉さん(2014年10月8日)

延岡病院の病院見学を終えて

  大学で歯科の研修医の募集のポスターを見つけたのは9月に入ってすぐでした。私は地元の延岡で歯科の研修制度があるのを知らなかったので、すぐにでも見学させていただきたいと思い、その日のうちに見学を申し込みました。しかし、見学させていただけることになったものの、卒後はそのまま九大で研修医をすることしか考えていなかった私は、病院見学について先輩から話を聞いたこともなく、同級生に病院見学を経験したことのある人もおらず、非常に緊張して見学当日を迎えました。
 しかし、院長の栁邊先生、副院長の寺尾先生、口腔外科の鹿嶋先生、延岡病院の先生方やスタッフの皆様、職員の皆様のところへご挨拶にお伺いすると、笑顔で、そして優しく気さくに声をかけてくださり、次第に緊張がほぐれていきました。
 特に鹿嶋先生は、お忙しいところ一日中病院を案内してくださり、そして延岡病院や歯科の臨床研修制度の魅力、展望をとても熱心に教えてくださいました。

  見学させていただいて最も魅力を感じたことは、学ぶのに十分すぎる教育体制でした。
  常に先生方がついて実技を磨けるだけでなく、口腔外科の先生方が一般歯科や口腔外科、全身管理の講義をしてくださる研修セミナーや、英語の論文を読むための訓練としての抄読会など、学術的な面も磨くことができ、さらには救急センターでの夜間救急の研修という他の研修制度ではなかなか経験できない研修も受けられるということでした。口腔外科を軸に、入院患者の歯科治療や一般治療、救急医療まで幅広く、そして深く学べる環境が整っていました。これらは全て、未来の日本の医療を考えたときに必須の技能であり、それをすぐに研修内容に取り入れられるのも、研修制度ができたばかりの延岡病院ならではと感じました。
  病院の設備も非常に高い水準のもので、平成25年に新設された救命救急センターは、災害時のことも考えて設計され、屋上にはヘリポートが併設してあり、県北だけでなく、九州の救急医療を担っていました。
  研修医のデスクは救急センター内にあり、素晴らしいことに、医科も歯科も研修医は同じ部屋でした。こうした医療人として分け隔てなく働く環境の大切さは、鹿嶋先生が何度もおっしゃっていて、カンファレンスに出席させていただいた時も、歯科医師、看護師、薬剤師、栄養士の方々全員が自分のプロフェッショナルな観点から意見を出し合って最善の医療を行っていると感じました。地域医療はスタッフ同士の信頼関係の上に成り立っていることを再確認し、延岡病院がそれを実現している病院であることもまた大きな魅力でした。
  さらに、勉強会を通して他の歯科医師の先生方と交流する場も充実しているとのことでしたし、研究の道に進みたくなった場合も選択肢があり、研修後の進路も考えてくださっていました。歯科の臨床研修制度は今年から募集が始まったということで、今年6年生の先輩方が1期生となります。こうした、県北の医療を担う人材を育成する、十分すぎる環境がそろった頃に、私はちょうど研修医の年になるので、非常に恵まれていると思います。

  最後になりましたが、見学当日は私一人のために、たくさんの方が貴重なお時間を割いて病院を案内してくださいました。短い時間ではありましたが、延岡病院の魅力を充分に感じることができました。心よりお礼申し上げます。
 また近いうちにぜひ見学させていただきたいです。