セゲド大学(ハンガリー)医学部5年生 伊井誠さん・伊井早紀子さん(2014年7月28日~8月22日)

4週間の研修を終えて

2014年の夏、私たちの通っているハンガリーのセゲド大学の必修単位のため、ここ延岡病院で外科研修を行った。内容は、産科・婦人科、脳神経外科、一般外科、救急・麻酔科を1週間ずつという欲張りプログラム。科の先生方や研修医の先生方の温かい指導のもと、講義室では学べない多くのことを教わった。そして、何といっても毎日が刺激の連続。本当に間近で流れるドラマの中に入り込んだような気分を味わった。

普通分娩開始からしばらくして胎児が産道で前にも後ろにも動かなくなる→胎児の心拍数が落ちていく→緊急帝王切開。「帝王切開になるから手術室に行って。」と言われて私が手術室につくと、もう”何??何?”と思う間もなく産声が・・・・。
ヘリコプターで移送される新生児の見送りに見学に来ていた多くの学生でエレベーターのドアが閉まらない!新生児のご家族が急いで見送りに。ギリギリ間に合って涙で見送るご家族の顔。
救急で搬送されてきたおばあちゃん、腸が破れてしまっている。手術をしても、命は取り留めても、かなり厳しい状況が予測される中での手術。その後の劇的回復。

本当に書きつくせないほどのドラマが、時間の経った今でも鮮明に思い出される。
みんなそれぞれに色んな家族環境や社会環境があり、色んな人生があるという当たり前で忘れがちなことを、研修を通して再認識させてもらえた気がする。これも延岡病院が地域に根付き、しかも高度の医療を提供しているからだと思う。沢山の症例、手術、そして患者さんとの会話を大切にしていることに感動した。

また、子どものいる私たちにとって延岡病院の院内保育も大変ありがたかった。いつも笑顔で優しく接してくださる保育士さんたちに毎日癒された。

突然、研修をさせてくださいと延岡病院に送った1通のメールから、これほどたくさんの体験をさせてもらえる4週間が始まるとは予想もしていなかった。
研修を終えて、今はただただ感謝の気持ちでいっぱいである。

ハンガリーでは最後の40週の研修が始まったが、私たちも1日も早く社会に貢献できる医師になれるよう日々精進していきたいと切に思う。