DPCデータに基づく病院情報の公表
令和6年度 宮崎県立延岡病院指標
6.診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
7.その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
令和6年度 医療の質指標
1.リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
5.転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
1.年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | 500 | 140 | 197 | 332 | 351 | 565 | 1112 | 2079 | 1531 | 369 |
【解説】
高齢化社会を反映して、60歳以上の患者さんの割合が全体の71%、70歳以上の患者さんの割合が55%となっています。
一方、周産期センター、小児病棟を有していることから、10歳未満の患者さんの割合が7%となっています。
2.診断群分類別患者数等
(診療科別患者数上位5位まで)
※件数が10件未満のものは非公開(-)としております。
内科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
130040xx99x5xx | 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 手術なし 手術・処置等2 – 5あり | 147 | 12.01 | 16.12 | 0.00% | 73.18 | 内科1位 |
130030xx99x9xx | 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 – 9あり | 132 | 14.91 | 12.88 | 0.76% | 68.98 | 内科2位 |
060100xx01xxxx | 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 | 97 | 2.23 | 2.61 | 0.00% | 65.96 | |
040040xx99040x | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2 – 4あり 定義副傷病なし | 68 | 5.69 | 8.33 | 1.47% | 73.44 | |
130060xx99x4xx | 骨髄異形成症候群 手術なし 手術・処置等2 – 4あり | 59 | 9.47 | 9.8 | 0.00% | 79.12 | 内科5位 |
【解説】
宮崎県北地区には、血液疾患の治療を行う専門施設が当院しかなく、血液の悪性腫瘍の治療は当院でしかおこなっていません。そのため非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群の治療は宮崎県北地区では当院のみとなっています。抗悪性腫瘍薬の治療を主におこなっていますが、患者数は増加傾向にあります。
消化器内科は消化器外科と共働し診療をおこなっています。また、当院は感染症指定医療機関のため新型コロナ感染症の受け入れもおこなっています。当院での治療は中等症から重症患者についておこなっています。
小児科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
180030xxxxxx0x | その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病なし | 48 | 5 | 5.96 | 0.00% | 1.79 | 小児科1位 |
040090xxxxxxxx | 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) | 30 | 4.97 | 8.6 | 0.00% | 1.57 | |
040100xxxxx00x | 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 29 | 4.17 | 62 | 5.1 | 8.017 | 1.61% |
0400801199x0xx | 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし | 26 | 3.46 | 44 | 4.55 | 6.2247 | 2.27% |
150040xxxxx0xx | 熱性けいれん 手術・処置等2なし | 14 | 3.71 | 38 | 4.08 | 6.3792 | – |
33 | 4.64 | 5.6145 | – | ||||
24 | 2.83 | 3.5103 | – |
【解説】
当院は主に他医療施設から紹介された患者様を診療する紹介型病院で、小児科は宮崎県北部地域で最多の小児入院病床を有しています。近隣の小児科クリニック等から精密検査や入院加療が必要とされ紹介された小児について、平日昼間は小児科外来で、休日夜間は救急センターにてオンコール体制で診療しています。また、小児慢性疾患や重症心身障害の児についても当院で定期フォローを行っています。
令和6年度の入院患者数は424例で、令和5年度の341例から83例増加し、前年度比で124%となりました。令和2年に発生した新型コロナウイルス感染症パンデミックに対して、外出自粛や手指消毒の励行が全国的に行われ、小児科の入院数も286例(前年度503例、前年度比56.9%)と減少しましたが、以後は令和3年度326例、4年度327例、5年度341例と漸増しました。小児の入院背景の大部分を感染症が占めることから、外出移動が活発に行われ、日常の感染予防の忘れがちになってきていると思われます。
令和6年度の入院を疾患別にみますと、①その他の感染症、②急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症、③喘息、④肺炎等、⑤熱性けいれん、の順となり、大部分を感染症が占めていました。入院期間は全国平均と比べて短くなっており、紹介医から適切な時期に紹介され、かつ退院後のフォローも紹介医に依頼できることから、病診連携がしっかりできています。
小児の感染症についても、当院では呼吸器、血液、髄液に対するフィルムアレイ検査を導入しており、ウイルス抗原検査や細菌抗原検査の無いパラインフルエンザやエンテロウイルス、B群溶連菌なども約1時間で検出することができ、より正確な診断ができるようになってきています。乳児についてはRSウイルス感染症による急性細気管支炎が多くみられますが、パリビズマブ、ニルセビマブによる重症化予防が普及し、RSウイルス感染症の入院児の多くはパリビズマブ、ニルセビマブの適応のない正期産児が主体となっています。最近では妊娠中の母体へのRSウイルスワクチンも徐々に利用されるようになってきており、重症化予防がすすめば入院症例は減少していくものと思われます。熱性痙攣については例年同様に推移しています。痙攣発作が長く続く重積症例や、短時間に繰り返す複雑型熱性痙攣が入院対象となっています。
小児科は県北部地域の2次診療を担当しており、人工呼吸が必要な重症例や専門的な治療が必要な症例については、宮崎大学医学部附属病院、宮崎県立宮崎病院、熊本大学病院。熊本赤十字病院等の3次医療施設、高度医療施設に紹介、転院をさせていだいております。現在当科には5名の小児科医が勤務しており、看護スタッフと力を合わせて、また関連各科、病院の協力をいただきながら、宮崎県北部地域の子どもたちの健康を守っていきたいと考えています。
外科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 86 | 6.66 | 8.75 | 9.30% | 78.15 | 外科1位 |
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 | 45 | 4.8 | 4.55 | 0.00% | 75.11 | 外科2位 |
090010xx010xxx | 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし | 38 | 7.5 | 9.88 | 0.00% | 71.03 | 外科3位 |
060335xx02000x | 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 33 | 5.64 | 6.87 | 0.00% | 64.76 | |
060035xx010x0x | 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし | 30 | 11.53 | 15.12 | 0.00% | 69.6 | 外科5位 |
【解説】
①胆管結石・胆管炎に対しては、主に体への負担が少ない内視鏡治療を行っています。
②鼠径ヘルニアに対しては前方アプローチや腹腔鏡下での根治手術を行っています。
③乳癌に対しては、症例ごとに適応を検討し、手術と化学療法・内分泌療法・放射線照射を組み合わせた治療を行っています。
④胆嚢炎に対しては、できるだけ体に負担が少ない腹腔鏡手術や内視鏡によるカテーテル治療を行っています。
⑤結腸癌に対しては、できるだけ体への負担が少ない腹腔鏡下手術を行っています。
整形外科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
160800xx02xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 | 157 | 24.86 | 25.29 | 85.99% | 82.38 | 整形外科1位 |
070230xx01xxxx | 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 | 41 | 25.61 | 21.38 | 68.29% | 77.51 | 整形外科2位 |
07040xxx01xxxx | 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 | 38 | 22.71 | 18.76 | 78.95% | 72.18 | 整形外科3位 |
070343xx97x0xx | 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2なし | 29 | 18.38 | 15.41 | 55.17% | 76.1 | |
160760xx01xxxx | 前腕の骨折 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨等 | 26 | 11.04 | 5.95 | 26.92% | 71.5 | 整形外科5位 |
【解説】 最も患者数が多かったのは、股関節の大腿骨近位骨折です。高齢者に多く、軽微な転倒などで受傷します。骨折型によって骨折観血的手術と人工骨頭挿入術を選択します。2番目と3番目は変形性関節症に対する人工関節置換術です。4番目は脊椎手術です。神経の圧迫をとる手術や必要に応じて固定術を行っています。5番目は手関節の骨折です。やはり高齢者が転倒して手をつくときに発生します。主に金属プレートで固定を行います。
脳神経外科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
010040x099000x | 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 63 | 15.87 | 19.09 | 71.43% | 69.65 | 脳神経外科1位 |
010050xx02x00x | 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 37 | 9.62 | 11.87 | 13.51% | 79.81 | 脳神経外科2位 |
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 32 | 10.88 | 8.38 | 31.25% | 71.69 | |
010040x199x0xx | 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2なし | 20 | 15.7 | 22.61 | 65.00% | 75.55 | |
010230xx99x00x | てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 19 | 10.26 | 7.19 | 15.79% | 69.37 |
【解説】
当科は宮崎県北地域の脳神経外科疾患を対象として診療をしています。通常、脳神経外科の対象は、脳卒中、神経外傷、脳腫瘍ですが、県北には神経内科の常勤医がほとんどいないため神経内科的疾患の急性期も診療しています。
上記1位、4位が脳出血で、当科で診療する一番症例が多い疾患です。重症例に対しては手術がおこなわれますが、当科では顕微鏡手術の他に神経内視鏡による手術もおこなっています。ただ最近手術になるような大きな出血は減少傾向です。
3位が頭部外傷です。交通事故の症例は全国的に減少してきていますが、高齢化に伴い高齢者の転倒、転落が増加傾向です。通常の開頭術の他に、特に緊急性が高いような症例では救急外来で穿頭術を行い、症例によっては良好な経過をたどっています。
頭部外傷後の2ヶ月前後で慢性硬膜下血腫という疾患が出現する事があります。上記2位の疾患です。手術で完治することが多く、脳神経外科が治療に当たる疾患です。
5位のてんかんは通常神経内科が診療に当たりますが、県北では神経内科が常在する入院可能施設が2つしかないため、てんかん急性期は当院でも治療をおこなっています。近年高齢者のてんかんが増えてきており、重大事故の原因となり、社会問題となりました。高齢者てんかんの原因として脳血管障害、認知症に伴うものが挙げられます。認知症の原因にもなるため適正な治療が必要です。
呼吸器外科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
040040xx02x0xx | 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2なし | 91 | 8.77 | 9.8198 | – | 71.54 | 6.46 |
040040xx97x00x | 肺の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 28 | 6.46 | 11.12 | 7.14% | 73.82 | 12.12 |
040040xx9900xx | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし | 16 | 12.12 | 13.41 | 31.25% | 73.81 | 21.07 |
040150xx97x0xx | 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術あり 手術・処置等2なし | 15 | 21.07 | 28.408 | – | 67.47 | 4.73 |
040040xx99040x | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2 – 4あり 定義副傷病なし | 11 | 4.73 | 8.1595 | – | 64.82 |
【解説】
当院では呼吸器内科と呼吸器外科で呼吸器センターを開設しております。肺の悪性腫瘍に対しては診断、手術、放射線治療、化学療法を呼吸器内科と共に一貫して行い、診断から治療までを円滑におこなっております。
手術症例はほとんどの症例で胸腔鏡を用いた低侵襲手術をおこなっております。これにより、高い根治性を目指すと同時に、低い合併症発生率と術後疼痛0を目指しております。さらに積極的離床、必要に応じたリハビリ介入を行うことで術後早期退院、早期社会生活復帰ができることを重視しています。
化学療法はガイドラインに基づき、最新の抗癌剤を用いています。初回の抗癌剤投与は入院でおこないますが治療が軌道に乗れば外来化学療法に移行します。つらい副作用の予防とサポートを癌化学療法専門看護師や薬剤師と共におこないます。
現役で仕事をしておられる方が仕事を続けながら安心して治療を受けられるように、仕事と治療の両立支援を積極的におこなっています。
良性疾患に対する手術で多いのが気胸に対するブラ切除術です。当院の基本方針としては若年者の初回気胸関しては原則ドレナージによる保存的治療を行い、再発症例で明らかなブラがある症例に対しては胸腔鏡下ブラ切除を行うこととしております。
心臓血管外科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050163xx02x1xx | 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等2 – 1あり | 12 | 19.25 | 18.74 | – | 73.17 | |
050163xx03x0xx | 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし | 11 | 10.27 | 10.18 | – | 76.73 | |
050080xx0101xx | 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1なし 手術・処置等2 – 1あり | – | – | 20.84 | – | – | |
050161xx9900xx | 大動脈解離 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし | – | – | 16.3225 | – | – | |
050161xx02x0xx | 大動脈解離 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし | – | – | 13.0627 | – | – |
【解説】
当科では、心臓、大血管、末梢血管などに対する診療をおこなっております。冠動脈バイパス術や弁置換術など一般的な手術のほか、緊急手術もおこなっております。大動脈瘤治療としては開胸、開腹での人工血管置換術もしくはステントグラフト内挿術の2つがありまが、病変の解剖学的特徴や患者さんの年齢、併存疾患を考慮して適切な治療法をお勧めしています。
産婦人科・周産期科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
140010x199x0xx | 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし | 80 | 4.83 | 6.1139 | 16.25% | – | |
120060xx01xxxx | 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 | 45 | 9.56 | 9.1957 | – | 48.16 | 産婦人科2位 |
120180xx01xxxx | 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 | 35 | 11.74 | 9.4004 | 5.71% | 33.29 | |
120090xx97xxxx | 生殖器脱出症 手術あり | 35 | 8.49 | 7.7363 | – | 70.11 | |
120070xx01xxxx | 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 開腹によるもの等 | 35 | 8.94 | 9.7418 | – | 53.26 |
【解説】
当科では産婦人科に加えて周産期科としてNICU症例も取り扱っていますので、新生児疾患が含まれています。症例数第1位には2,500g以上の早産児、新生児低血糖、新生児一過性多呼吸、新生児仮死、その他もろもろの新生児疾患が含まれています。第2位は子宮筋腫等の良性疾患での子宮全摘術等、第3位は胎児および付属物の異常で子宮内胎児発育遅延、子宮内感染、胎児心拍数モニター異常、常位胎盤早期剥離、羊水過多症、羊水過少症、等、第4位は生殖器脱出症で腟式子宮全摘術と腟壁形成術や腟閉鎖術等の手術療法を行っています。第5位は卵巣の良性腫瘍が入っています。
耳鼻咽喉科
DPCコード |
DPC名 称 |
件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
030230xxxxxxxx | 扁桃、アデノイドの慢性疾患 | 31 | 8.39 | 7.53 | 0.00% | 24.68 | |
030240xx99xxxx | 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし し | 17 | 6.18 | 5.51 | 0.00% | 44.24 | 耳鼻咽喉科2位 |
030440xx01xxxx | 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 | 12 | 5.75 | 6.76 | 0.00% | 53.83 | |
030300xx01xxxx | 声帯の疾患(その他) 喉頭・声帯ポリープ切除術等 | – | – | 4.29 | – | – | |
030390xx99xxxx | 顔面神経障害 手術なし | – | – | 8.71 | – | – |
【解説】
当科は、宮崎県北地域唯一の入院加療可能施設であり、手術目的以外の入院疾患では、急性扁桃炎・扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍などの急性感染症、あるいはめまいを主訴とした前庭神経炎やメニエール病、突発性難聴といった前庭機能障害などの急性期疾患を中心に入院加療をおこなっています。また、腫瘍性病変については適宜検査を行った上で、宮崎大学医学部附属病院への紹介なども行っております。
泌尿器科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110080xx991xxx | 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり | 44 | 3.2 | 2.4482 | – | 72.32 | |
110070xx03x0xx | 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし | 38 | 5.63 | 6.8075 | – | 76.24 | |
11012xxx02xx0x | 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病なし | 34 | 5.5 | 5.1646 | 2.94% | 67.91 | |
110200xx02xxxx | 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 | 20 | 7.25 | 7.7712 | 10.00% | 76.9 | |
110070xx02xxxx | 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術+術中血管等描出撮影加算 | 13 | 5.15 | 6.7475 | – | 75.85 |
【解説】
入院患者数は前立腺癌診断のための検査入院が44件と最多でした。次いで膀胱癌に対して経尿道的手術を行った症例が38件と2番目に多かった。上部尿路結石に対して手術を行った症例は34件で3番目でした。
循環器内科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050050xx0200xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1/2あり 手術・処置等2なし | 153 | 4.77 | 4.18 | – | 70.93 | |
050070xx03x0xx | 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし | 153 | 4.08 | 4.47 | – | 68.81 | |
050050xx9920xx | 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 – 2あり 手術・処置等2なし | 119 | 4.02 | 3.27 | 1.68% | 71.31 | |
050030xx03000x | 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 99 | 12.76 | 11.37 | 2.02% | 71.95 | |
050210xx97000x | 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1なし、1/3あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 91 | 9.21 | 9.59 | 1.10% | 80.21 |
【解説】
上から①狭心症で経皮的冠動脈インターベンションPCIをおこなった患者分類。
②心房細動にてカテーテルアブレーションを行った患者分類。
③狭心症にて心臓カテーテル検査および付随する検査(冠動脈血流予備量比FFR,光干渉断層像OCT、血管内超音波IVUS)をおこなった患者分類。
④急性心筋梗塞にてPCIをおこなった患者分類。
⑤ペースメーカ留置を行った患者分類。
狭心症の最終診断は画像検査でおこないます。近年は外来で造影CTによって診断できる症例が増えました。しかし、狭窄率が高度になると、内服治療か血行再建をするかの評価が必要です。このために行う心臓カテーテル検査が患者数③位の患者分類です。心臓カテーテル検査を行う際にさらに詳細な検査(FFR、OCT,IVUS)を追加し、PCIの適応を判断することがあります。カテーテルによる血行再建(経皮的冠動脈形成術あるいはステント留置術)が必要と判断した場合、先端に数ミリのバルーンがついたカテーテルを病変部に挿入して拡張し、必要に応じてステントと呼ばれる金属製の補強材を内挿します。程度によりますが、速ければ手術は20-30分で終了し、3泊4日の入院で完了する侵襲の低い手術で、体力のない高齢者でも受けることができます。この手術による入院が患者数①位の分類です。
冠動脈の狭窄が進行し閉塞をきたすと急性心筋梗塞を発症します。速やかに再灌流をおこなうためにPCIを行うのが患者数④位の分類です。
頻脈性不整脈(特に心房細動)に対してカテーテルアブレーションを行ったのが②位の分類です。当院でも常勤の不整脈専門医が赴任しカテーテルアブレーションが可能となり増加しています。
徐脈性不整脈に対してペースメーカ植込術を行った患者数が⑤位の分類です。
救命救急科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
161070xxxxx00x | 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 34 | 4.18 | 3.5794 | 14.71% | 44.38 | |
160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 30 | 4.3 | 7.9907 | 13.33% | 60.3 | |
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし | 20 | 23.95 | 20.78 | 40.00% | 78.2 | |
180010x0xxx0xx | 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2なし | 16 | 20.19 | 20.062 | 43.75% | 74.5 | |
010230xx99x00x | てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 14 | 6.07 | 6.893 | 7.14% | 58.14 |
【解説】
令和6年度の疾患内訳では、上位5疾患に前年度から変動がみられました。前年度2番目だった薬物中毒が最多となっています。本県は全国平均を上回る自殺者数が報告されており、県北地区も例外ではないことのあらわれと思われます医薬品中毒を含む薬物中毒で入院される方は、精神疾患を患っていらっしゃる方が多いのが特徴です。当院は精神科の常勤医師が不在ですが、当科での入院加療で身体的回復を確認した後に、精神科的治療の必要度に応じて精神科病院への転院・受診を調整しております。これにとどまらず、行政機関や管内の精神科病院および消防機関や警察機関の参加する会議を定期的に開催し、関係強化に努めています。
薬物中毒以外の疾患を外因性と内因性に大別すると、。外因性では昨年度最多であった頭部打撲、脳震盪、頭部挫創など手術不要の頭部外傷が2番目で、脳神経外科と協働で治療にあたっています。内因性では誤嚥性肺炎、敗血症、てんかんの疾患を数多く担当しています。誤嚥性肺炎や敗血症を患った方はどちらも平均年齢が78.2歳と74.5歳で、高齢による体力や免疫力の衰えがこれらの疾患の発症の要因の1つと思われます。誤嚥性肺炎や敗血症は死亡率の高い疾患でありますので、当科が主治医となりつつ、対象臓器の専門診療科と連携をとりながら、全身管理をICU病棟やHCU病棟で行い、約2週間の抗生剤の投与を中心とした入院治療を行います。入院期間も他疾患に比較して長期になっておりますが、入院前と同レベルの生活を獲得するためにはリハビリテーションが必要となることが多く、継続的な治療のためにリハビリテーションが継続可能な近隣の病院への転院率が高くなっています。
最後に5番目のてんかんですが、古い外傷や手術の影響だけでなく、低血糖や電解質異常、内分泌疾患や感染症などでもてんかんを発症します。全身性疾患の1つの症状であることもあり、そのような場合は、当科で全身管理を行います。
これら救急疾患の方を中心に、引き続き全身管理を含む集中治療管理から一般病棟管理までを当科で行い救命率向上を目指します。
皮膚科
DPCコード | DPC名称 | 件数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 年齢 | 患者用パス |
080010xxxx0xxx | 膿皮症 手術・処置等1なし | 11 | 17.09 | 12.981 | 18.18% | 71.91 | |
100100xx99x0xx | 糖尿病足病変 手術なし 手術・処置等2なし | – | – | 21.461 | – | – | |
161000x199x0xx | 熱傷・化学熱傷・凍傷・電撃傷(Burn Index10未満) 手術なし 手術・処置等2なし | – | – | 12.298 | – | – | |
080250xx99x1xx | 褥瘡潰瘍 手術なし 手術・処置等2あり | – | – | 33.145 | – | – | |
080006xx01x0xx | 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし | – | – | 6.9203 | – | – |
【解説】
令和6年度に当科で対応した入院患者で最も最多となった疾患は膿皮症でした。
膿皮症とは、蜂窩織炎や皮膚膿瘍など皮膚や皮下の感染症が含まれます。主に抗菌薬投与で治療を行います。
症例数は少ないですが、水疱症や熱傷、褥瘡、重症薬疹、皮膚潰瘍、皮膚悪性腫瘍切除などの入院加療も行っております。
3.初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | |||||
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||
胃癌 | 15 | – | 13 | 18 | – | – |
大腸癌 | 25 | 16 | 32 | 41 | – | 25 |
乳癌 | 26 | 29 | 12 | 17 | – | 16 |
肺癌 | 68 | 15 | 38 | 140 | – | 107 |
肝癌 | – | – | – | – | – |
【解説】
UICC病期分類でStageⅠからStageⅣに分類されています。
「初発」とは、当院入院で、当該腫瘍の診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合を指し、延べ患者数とします。
「不明」とは、治療前の情報のみでは正確な病期分類ができていないことを指します。
「再発」とは、初回治療が完了した後、当院で患者を診察した場合や、治療がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指し、延べ患者数となっています。
がん腫で患者数が一番多いのは肺がんで、StageⅣの患者さんが一番多くなっております。
当院呼吸器外科にて診断から手術、術後の放射線治療、化学療法まで一貫して行えます。
また、当院は宮崎県がん診療指定病院となっており、がん看護専門看護師、がん化学療法認定看護師が患者さんやご家族をサポートするとともに、院内に設置されたがん相談支援センターでは、がんに関するあらゆる相談に対応するなどがん患者さんへの支援体制を整えています。
4.成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | |
軽症 | – | – | – |
中等症 | 44 | 14.25 | 75.59 |
重症 | 26 | 16.08 | 78.73 |
超重症 | 12 | 18.42 | 82 |
【解説】
嚥下性肺炎やウイルス性肺炎は含まれず市中肺炎(社会生活を送っている中で罹患した肺炎)のみの統計となります。
高齢者がかかると重症になる事が多い疾患で中等症の患者が一番多くなっています。重症度に比例して平均在院日数、平均年齢が上がる傾向がみられるといわれています。
5.脳梗塞の患者数等
ICD10 | 傷病名 | 発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
I63$ | 脳梗塞 | 3日以内 | 56 | 23.14 | 75.38 | 60.71% |
その他 | - | - | - | - |
【解説】
「脳梗塞」は、脳の血管が詰まり、血流がストップした状態で脳組織が壊死(梗塞)した状態になります。
当院では第二次救急医療として24時間受付の救急外来があり、脳梗塞を発症から3日以内に受診された重症な患者が多くなっています。
6.診療科別主要手術別患者数等
(診療科別患者数上位5位まで)
※患者数が10件未満のものは非公開(-)としております。
内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm未満 | 87 | 0.15 | 1.39 | 0.00% | 65.09 | 内科パス |
K654 | 内視鏡的消化管止血術 | 29 | 1 | 9.21 | 24.14% | 75.55 | |
K6121イ | 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) | 26 | 8.31 | 17.04 | 11.54% | 73.69 | |
K7212 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm以上 | 21 | 0.19 | 1.76 | 0.00% | 68.14 | 内科パス |
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 19 | 1.26 | 7.89 | 21.05% | 80.37 |
【解説】
最も多く行われた手術は、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)です。下部消化管内視鏡検査で大腸ポリープが見つかった場合は、検査から治療に切り替えてポリープ切除をおこないます。高齢の患者さんも多いため術後1泊入院することがあります。 第2位の内視鏡的消化管止血術は吐血の患者さんに対し、緊急で施行することが多い術式です。
第3位は静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純)で腎臓内科が担当します。患者はほとんど地域の医療機関からの紹介です。
外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 80 | 1.36 | 7 | 12.50% | 77.05 | 外科パス |
K6113 | 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置 | 49 | 1.33 | 5.98 | 2.04% | 69.51 | |
K6335 | ヘルニア手術 鼠径ヘルニア | 47 | 1.15 | 2.79 | 0.00% | 73.94 | 外科パス |
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 46 | 1.37 | 3.8 | 0.00% | 63.07 | |
K4763 | 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) | 30 | 1.13 | 5.1 | 0.00% | 72.2 | 外科パス |
【解説】
①癌や結石など様々な原因による胆管閉塞・黄疸・胆管炎などに対して、内視鏡でのステント挿入・留置を行っています。 ②血管刺激性の強い薬剤(抗癌剤や高濃度栄養補液剤など)の定期的・長期の投与が必要な際には、安全に治療が行えるように血流の多い中心静脈へのアクセスを容易にするために局所麻酔下に埋込型カテーテルを主に前胸部皮下に留置しています。 ③鼠径ヘルニアに対しては、前方アプローチや腹腔鏡下にてヘルニア門を遮断する根治術を行っています。 ④胆石症や胆嚢炎、良性胆嚢ポリープなどに対して、小さな切開創で胆嚢を摘出する腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。 ⑤乳癌に対しては、症例ごとに適応を検討し、切除範囲やリンパ節郭清の範囲を決定し治療を行っています。
整形外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 124 | 3.48 | 18.98 | 78.23% | 78.39 | |
K0821 | 人工関節置換術(膝) | 81 | 1.3 | 22.27 | 74.07% | 75.01 | |
K0811 | 人工骨頭挿入術(股) | 70 | 4.54 | 20.36 | 87.32% | 81.99 | |
K0462 | 骨折観血的手術(前腕) | 52 | 2.73 | 12.88 | 26.42% | 62.73 | |
K0483 | 骨内異物(挿入物)除去術(前腕) | 26 | 0.5 | 1.96 | – | 51.73 | |
K1426 | 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓形成 | 27 | 4.07 | 14.04 | 55.56% | 70.48 | 整形外科パス |
【解説】
一番多いのは外傷による骨折に対する骨折観血的手術です。上肢から下肢まで多様な部位の骨折があり、当院では高齢者の軽微な外傷や交通事故や転落など高エネルギー外傷の両方とも治療を行っています。2番目は変形性関節症に対する人工関節置換術です。3番目に多いのは股関節の大腿骨近位骨折に対して行う人工骨頭挿入術です。4番目に多いのは手関節の骨折です。やはり高齢者が転倒して手をつくときに発生します。主に金属プレートで固定を行います。
脳神経外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K164-2 | 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 50 | 0.6 | 9.32 | 16.00% | 79.78 | 脳神経外科パス |
K1771 | 脳動脈瘤頸部クリッピング 1箇所 | 21 | 1 | 23.95 | 33.33% | 60.81 | |
K1742 | 水頭症手術 シャント手術 | 11 | 8.36 | 16.82 | 63.64% | 69.36 | |
K1642 | 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの) 硬膜下のもの | 10 | 3.6 | 18.4 | 40.00% | 77.1 | |
K1692 | 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの | – | – | – | – | – |
【解説】
最も多くおこなわれたのは慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術でした。これは、頭部外傷後しばらくたってから、頭蓋骨と脳との隙間に血液がたまり脳を圧迫する病気です。頭を打って1~2ヶ月してから頭痛や麻痺などの症状が徐々に出てきます。局所麻酔で頭蓋骨に小さな孔をあけて、血腫内を洗浄し、血腫を排出させる管を一晩留置します。手術時間は30分~1時間程度です。1週間程度の入院となります。
2位は脳動脈瘤頚部クリッピング術です。脳動脈瘤は破裂することにより主にくも膜下出血の原因となります。くも膜下出血等を起こした場合、一般的には72時間以内に再破裂の予防のためクリッピング術を行います。未破裂脳動脈瘤の場合は予定手術でクリッピングを行います。近年ではカテーテルを使用した動脈瘤のコイル塞栓術も行っています。
脳内(脳室)に髄液が貯留する水頭症はいくつかの原因で出現します。脳室に髄液が貯留することにより歩行障害、認知症、尿失禁といった症状が出現します。脳内の髄液を排出する手術がシャント術です。脳室に直接チューブを挿入する脳室腹腔シャント、腰椎くも膜下腔にチューブを挿入する、腰椎腹腔シャントがあります。チューブ等を皮下に完全に埋没させ、腹腔内に髄液を流すようにします。
頭蓋骨に数個の穴をあけ、大きく頭蓋骨を外す手技を開頭術といいます。脳動脈瘤頚部クリッピングも開頭術の一つです。開頭術による硬膜下血腫は主に外傷による急性硬膜下血腫に対して行われます。ときに難治性の慢性硬膜下血腫に対しても開頭術が行われます。
数は多くありませんが脳腫瘍摘出術を行っています。当院では転移性脳腫瘍、髄膜腫といったものを対象にしています。神経膠腫の手術も行っていましたが近年神経膠腫の診断に遺伝子検査が必須となり基本的に大学病院に紹介します。
呼吸器外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K514-22 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) | 34 | 1.44 | 8.03 | 2.94% | 71.82 | |
K514-23 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除,又は1肺葉を超える | 32 | 2.56 | 7.47 | – | 71.31 | |
K514-21 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) | 21 | 1.38 | 5 | – | 71.52 | |
K488-4 | 胸腔鏡下試験切除術 | 13 | 1.69 | 5.23 | – | 74.38 | |
K5132 | 胸腔鏡下肺切除術(部分切除) | 12 | 2.42 | 3.83 | – | 73.92 |
【解説】
悪性腫瘍手術手術は従来肺葉切除が標準術式でしたが、近年、病状によっては癌の部分だけを取り除き、可能な限り肺を温存する手術でも根治できる区域切除を積極的におこなっています。
ほとんどの症例を低侵襲な胸腔鏡下手術でおこなっています。
患者さんが一人暮らし、遠方、高齢、体力が低下しているなどの場合、入院期間が長くなる傾向があります。手術リスクの高い患者さんでは手術合併症を減らすために、術前後のリハビリや積極的な術後管理を少し長めの入院によりおこなっています。
御家族が遠方で当院来院が困難なかたについてはZoomを用いたオンラインでの相談もさせていただいております。
患者さんの術後の生活の質の維持・向上と同時にめざすべく、患者支援センターと連携し速やかで確実な社会復帰を実現するよう努めています。
心臓血管外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5612イ | ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) | 10 | 6.4 | 11.9 | 20.00% | 65.3 | |
K5607 | 大動脈瘤切除術(腹部大動脈,その他のもの) | – | – | – | – | – | |
K5612ロ | ステントグラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 | – | – | – | – | – | |
K5606 | 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの) | – | – | – | – | – | |
K6105 | 動脈形成術(その他の動脈) | – | – | – | – | – |
【解説】
当科では、心臓、大血管、末梢血管などに対する診療をおこなっております。大動脈瘤切除術など一般的な手術のほか、緊急手術もおこなっております。
産婦人科・周産期科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K877 | 子宮全摘術 | 89 | 1.48 | 7.82 | 1.11% | 53.03 | |
K8981 | 帝王切開術(緊急帝王切開) | 48 | 11.5 | 7.31 | 6.25% | 31.15 | |
K8881 | 子宮附属器腫瘍摘出術(両側,開腹) | 41 | 1.49 | 7.24 | 2.44% | 55.24 | |
K8982 | 帝王切開術(選択切開) | 37 | 10.62 | 6.95 | 5.41% | 32.95 | |
K867 | 子宮頸部(腟部)切除術 | 29 | 1.21 | 1.03 | – | 39.17 |
【解説】
第1位は子宮全摘術で良性疾患、上皮内癌、初期子宮体癌に対する子宮全摘術です。腹式子宮全摘術に加えて腟式子宮全摘術も積極的に行っています。第2位は緊急帝王切開術、第4位は選択的帝王切開術です。2次周産期施設である当院では緊急帝王切開術が多くなっています。第3位は子宮附属器(卵巣・卵管)腫瘍の手術で開腹でおこなっています。第5位は子宮頚部切除術になっています。
耳鼻咽喉科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K3772 | 口蓋扁桃摘出術 | 32 | 0.97 | 6.56 | 0.00% | 24.88 | |
K3191 | 鼓室形成手術(耳小骨温存術) | 10 | 1 | 3.9 | 0.00% | 49.1 | 耳鼻咽喉科パス |
K3932 | 喉頭腫瘍摘出術 直達鏡によるもの | – | – | – | – | – | |
K6261 | リンパ節摘出術 長径3cm未満 | – | – | – | – | – | |
K368 | 扁桃周囲膿瘍切開術 | – | – | – | – | – | |
K3892 | 喉頭・声帯ポリープ切除術(直達喉頭鏡又はファイバースコープによるもの) | – | – | – | – | – |
【解説】
当科は、宮崎県北地域唯一の手術可能施設であり、口腔・咽頭疾患である慢性扁桃炎、小児のいびき・睡眠時無呼吸症に対する口蓋扁桃摘出術・アデノイド切除術を中心に手術を行っています。また、慢性副鼻腔炎・鼻茸に対する内視鏡下手術や、慢性中耳炎に対する手術、声帯ポリープ、喉頭腫瘍に対する喉頭鏡下手術なども必要に応じて行っております。
泌尿器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8036ロ | 6.膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 ロ その他のもの | 46 | 1.59 | 3.02 | – | 76.11 | |
K7811 | 経尿道的尿路結石除去術(1 レーザーによるもの) | 37 | 1.7 | 3.86 | 2.70% | 68.86 | |
K783-2 | W-J ステント留置術 | 26 | 0.81 | 11.23 | 7.89% | 72.5 | |
K841-21 | 経尿道的レーザー前立腺切除術(ホルミウムレーザー) | 19 | 1 | 5.26 | 10.53% | 76.89 | |
K773-2 | 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 | 16 | 1.25 | 7.19 | – | 73.19 |
【解説】
手術件数は膀胱癌に対して行った経尿道的膀胱腫瘍切除術が46件と最多でした。2番目は上部尿路結石に対してホルミウムレーザーを使用した経尿道的尿路結石除去術が37件でした。3番目は尿管結石や尿管狭窄に対して行った尿管ステント留置術、4番目に前立腺肥大症に対する経尿道的レーザー前立腺切除術となっております。
循環器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5951 | 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの | 124 | 1.02 | 2.06 | – | 70.35 | |
K5493 | 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) | 110 | 2.75 | 2.9 | 0.91% | 71.75 | |
K5491 | 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) | 75 | – | 14.88 | 5.33% | 72.76 | |
K5973 | ペースメーカー移植術(リードレスペースメーカー) | 44 | 3.11 | 6.66 | 8.89% | 84.14 | |
K5492 | 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) | 37 | 0.05 | 10.16 | 5.26% | 71.46 |
【解説】
K5951 年齢とともに不整脈、特に心房細動の罹患率も増加します。K5951は心房細動に対して行うカテーテルアブレーションと呼ばれる治療です。心房細動は脳梗塞および心不全の発症と関連しています。カテーテルアブレーションを心房細動発症早期に行うことで根治も可能な有効性の高い治療です。令和6年より常勤の専門医も着任し積極的に行っています。
年齢とともに動脈硬化は進みますが、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常症、タバコ、遺伝などの要因により動脈硬化が促進されます。その結果、心臓を養う冠動脈に動脈硬化による狭窄が出現すると、その末梢の心筋は十分な血液を受け取れず、虚血(栄養や酸素の不足)状態になります。これが「狭心症」の状態ですが、さらに、動脈硬化が進展し血栓で閉塞すると、血流が途絶し、「心筋梗塞」を発症します。その間のつまりかかった状態が「不安定狭心症」です。
狭心症に対する予定された経皮的冠動脈ステント留置術K5493が第2位です。そして、急性心筋梗塞に対する緊急の治療のうち、経皮的冠動脈ステント留置術K5491が第3位、不安定狭心症に対するものが第5位でした。これらは、腕の血管から細いカテーテルを心臓の冠動脈まで進め、狭窄あるいは閉塞部位を治療する方法です。これらカテーテル治療に、365日24時間対応しています。
第4位は徐脈性不整脈に対するペースメーカ植込術ですが、近年右心室内に直接植込を行うリードレスペースメーカ植込術も行っています。近年高齢化もあり増加傾向です。
7.その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | - | - |
180010 | 敗血症 | 同一 | 72 | 1.00% |
異な43る | 43 | 0.60% | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | - | - |
異なる | - | - | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 39 | 0.54% |
異なる | - | - |
【解説】
敗血症は血液が細菌に感染することにより全身に炎症を起こす病気です。肺炎や尿路感染症、腹膜炎、悪性腫瘍などに合併する例が多いのですが、当院では敗血症そのもので入院された患者さんが多い傾向を示しています。入院中に合併症を起こさない様にしていますが、患者さんを紹介、救急のみで受け付けているので、重症な患者さんが多く、入院中に合併症になる患者さんも一定数いらっしゃいます。
手術・処置等の合併症の主なものは、動脈や透析用シャントの閉塞・再狭窄・機能低下・感染症の他、術後感染、術後出血となっています。診療科で見ると心臓血管外科、整形外科、内科、外科が多く、これらで半数を超えてますが、いずれの診療科の手術も患者さんの負担が大きいため、患者さんの状態が良好でない場合は合併症がみられることがあります。
1.リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症発症の予防対策実施率
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を施行した退院患者数(分母) | 分母のうち、肺血栓塞栓症の予防対策が実施された患者数(分子) | リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症発症の予防対策実施率 |
1,156 | 1,086 | 93.94% |
2.血液培養2セット実施率
血液培養オーダー日数(分母) | 血液培養オーダーが1日に2件以上ある日数(分子) | 血液培養2セット実施率 |
2,840 | 2,196 | 77.32% |
3.広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
広域スペクトルの抗菌薬が処方された退院患者数(分母) | 分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日までの間に細菌培養同定検査が実施された患者数(分子) | 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率 |
932 | 872 | 93.56% |
4.転倒・転落発生率
退院患者の在院日数の総和もしくは入院患者延べ数(分母) | 退院患者に発生した転倒・転落件数(分子) | 転倒・転落発生率 |
94,957 | 143 | 1.51% |
5.転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
退院患者の在院日数の総和もしくは入院患者延べ数(分母) | 退院患者に発生したインシデント影響度分類レベル3b 以上の転倒・転落の発生件数(分子) | 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率 |
- | - | - |
6.手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
全身麻酔手術で、予防的抗菌薬投与が実施された手術件数(分母) | 分母のうち、手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数(分子) | 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率 |
1,059 | 1,053 | 99.43 |
7.d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
退院患者の在院日数の総和もしくは除外条件に該当する患者を除いた入院患者延べ数(分母) | 褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡)の発生患者数(分子) | d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率 |
- | - | - |
8.65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
65 歳以上の退院患者数(分母) | 分母のうち、入院後48時間以内に栄養アセスメントが実施された患者数(分子) | 65 歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合 |
4,817 | 1,910 | 39.65 |
9.身体的拘束の実施率
退院患者の在院日数の総和(分母) | 分母のうち、身体的拘束日数の総和(分子) | 身体的拘束の実施率 |
94,957 | 6,728 | 7.09 |
更新履歴
2025/09/26 「令和6年度 病院情報の公表」作成